「ハルカニウム」について考えてみたら収拾がつかなくなった件

めっちゃくちゃお久しぶりです!そうPです。

ブログの更新をサボり始めて早1年と10ヶ月…ってもうすぐ2年じゃないですか。

流石にサボりすぎてますね、反省致します。

 

今回のエントリーは春香さんが大好きな人達で2020年の春に刊行致しました、

同人誌というか学会誌である

天海春香学会 Vol.1」に寄稿させて頂いた

「ハルカニウム」について考えてみたら収拾がつかなくなった件」

を再編集、というか加筆訂正したものを掲載致します。

 

 

 この天海春香学会って何ぞや…?と思った方はTwitterのアカウントをフォローして頂けると良いかと思います。→ @a_harukagakkai

主催の「スタントンP:@stantonharuka」と「そにっぴー:@f_of_panda」のお二人は現在も精力的に春香Pの活動しているとてもエネルギッシュな方達で、その熱にうかされた老体が醸し出したポエムが今回のエントリーでございます。

以下、宜しくお願いいたします。

 

 【序文】

僕の記憶が確かならば、古(いにしえ)のアケマス時代より春香さんのプロデュースに関わろうとする者を拐かし、虜にしてしまう成分が有るという。その名は「ハルカニウム」。春香Pの間では以前からその存在が知られていましたが詳しく体系化された文献もあまりなく、その効能、効果、副作用についての大規模なスタディも有りませんでした。今回この「天海春香学会」が立ち上がることを知り、この期にハルカニウムの研究が進むことを期待して、先ずは道標としての序文を書かせていただこうと思い筆をとった次第です。至らぬ点も多々あるかと思いますがお付き合いのほど、宜しくお願いいたします。

 

【ハルカニウム概要】

先にも書きましたがハルカニウムは古くからその存在が知られており、名称についても複数が確認されております。それらは時代や場所によって「ハルルニウム」「アマミシウム」などとも言われておりますが、全て同じ働きを持つエナンチオマー(構造異性体)と考えられます。この事はハルカニウムが非常に広い範囲で存在していることを伺わせます。

さて、ハルカニウムの具体的な摂取方法ですが意外に簡単です。アイマスをプレイする事はもちろんですが、ニコ動やTwitter、pixivなどのSNS天海春香さんを検索し、その容姿や笑顔、歌声、コミュ、ダンス等を閲覧する事により脳内に取り込まれ、その者に何とも言えない多幸感(ハピネス)を与えます。この作用が起きる機序については脳内のβエンドルフィン濃度を高めるのではないかと考えられていますが、まだ詳しい事はわかっておりません。これからの研究を待ちたいと思います。

また、ハルカニウムの効能はこれ以外にも数多く確認されており、「道端で困っている人に声をかけられるようになった」、「以前より前向きに生きられるようになった」、「自分が覇王になったような気分になる」等が報告されています。

このようにおおむね有用性が勝るハルカニウムですが、過度に摂取する事で「天海春香廃人」になってしまう事も確認されています。廃人化が進んだ春香Pは以下のような特徴的な行動を取ります。

・装飾品であるリボンを食べ物と誤認してしまう。(リボンむしゃむしゃ)
・不意に「わっほい!」などと叫ぶ。
・自らの好きなハルカニウムを作り出そうとする。
SNSでの (天・∀・海) の多用。
・自分が天海春香なのでは?などと考え始める。

このような方をTwitterで見かけた場合、あなたが春香Pであるならばすぐさまフォローする事をオススメします。何故なら「天海春香廃人」の方は「ハルカニウム」の摂取に非常に貪欲なため、ハルカニウムを多く含むツイートを発見する能力(環境)に長けています。故に、その方のTLを追うだけで非常に効率よくハルカニウムを摂取できるのです。

 

【全部公式が悪い】
さて次に、なぜハルカニウムは未だに多くの春香Pがその摂取を求めているのか?を考察していこうと思います。僕はその理由が初期アイマスにおいて春香さんが背負った「役割」が関係しているのでは?と考えています。

今の時代は正にソーシャルゲームが花盛り。765ASを取り込んだミリシタはもとより、TwitterのTLには多くの可愛らしい女の子達が「さあ、こっちにも(課金をしに)いらっしゃい」と言わんばかりに溢れています。765AS単独の動きが無くなってしまった昨今、アイマス不動のセンターとして他のアイドルよりも露出が多い春香さんのプロデューサーも、このような環境下に置かれてしまっては「新しい担当」や「推し」が増えてしまうのは仕方が無いのかも知れません。

 

しかし、少なくともアケマスや箱○、SPの春香さんをプロデュースした事のある春香Pはあのエンディングを忘れていません。他のアイドルとは何の疑問も無く添い遂げようとするゲーム内のPが、春香さんにだけとってしまったあの態度の事です。僕はあの時、「おいやめろ…そんなことは言いたくないんだ…」と心の中で叫びながら早回しのようにPSPの○ボタンを連打して…エンディングのカラデイを虚ろな目で聞いていた気がします。…まあ、この話は後で触れますのでここでは考察を先に進めます。

初期のアイドルマスターの開発方針を改めて見直してみると、あのエンディングも致し方なかったのかな?と思える部分があります。アイマスシリーズのプロデューサーである坂上陽三氏(通称ガミP)は、アイマスの1番の魅力は何かと問われたインタビューで『立場の違う男女の関係を描く普遍の魅力だと思います。アイドルはアイドルのトップを目指し、プロデューサーはプロデューサーのトップを目指す。お互いの目指す道があって、それとは別に相手への気持ちも膨らみます。そんなもどかしさや一緒にトップを目指す気持ちを体感できるところです』と答えています。

また、同じインタビューでディレ1こと石原章弘氏は「日常を変える、をコンセプトに本筋を複数本並行しながら展開していくところ」「原作がボヤけているからこそできる、全てが本物で全てが本筋と言えるところが魅力」と答えていました。

 

この両氏の言う初期アイマスの魅力を解りやすくまとめると、以下のようになります。

・「アイドルのプロデュース」が目標としてしっかりと存在する。
・日々の積み重ねの中で担当アイドルへの愛着が湧いてくるシステム。
・担当アイドルを一人の女性として意識してしまうコミュの数々。
・コミュが開放されていく順番はプレイヤー次第なのでそれぞれの物語ができる。

この秀逸なゲームシステムの上に準備されたアイドルは10名。
シルエットで直ぐに分かるようにデザインされた彼女たちには、またそれぞれに違う個性が与えられ、プレイヤーが自分好みのアイドルを選べるようになっていました。


その中で春香さんが担当するのは作品の顔であるセンター。スタンダードな性格を与えられたいわゆる「ドジっ子枠」で、誰もが親しみを持てるキャラですが、逆に言えば個性を発揮しづらいキャラでもあります。
個性豊かな他のアイドルたちに比べて存在感が無い、没個性などと言われ続けた春香さんですが、センターを張るアイドルの役回り上これは仕方の無い事。その上でさらなる宿命として背負わされてしまったのが坂上氏の言う「アイドルはアイドルのトップを目指し、プロデューサーはプロデューサーのトップを目指す」という最も基本的な部分の担当です。

エンディングで他のアイドルたちはプロデューサーと共に歩む事を希望し、それに対してプロデューサーも好意を隠さずに二人で進んでいく道を選びます。美希を例に取れば、プロデューサーはミキが16歳になるのを待ってから南の島に婚前旅行に行くという、もうメロメロで甘々なヤツが描かれています。

それに対して春香さんは基本担当係なので、プロデューサーと共に歩むことを希望しても別々の道でトップを目指そうと諭され、一人でトップアイドルを続ける事になりまっす。このアイドルとプロデューサーが各々の道を歩むというベースのストーリーが有るおかげでアイマスは「アイドルプロデュースゲーム」として成り立っています。つまり、ナムコは春香さんに辛いエンディングを背負わせる事で作品を成立させたのです。

 

…それにしても、ですよ。
もうちょっと春香さんとプロデューサー(プレイヤー)に気を使ったテキストにならなかったのだろうか?(憤怒)

 

自分をもっとそばに置いてくれ、と遠回しに告白する春香さんに向かってのセリフ。

「は? っておい、それ…、ヤバい意味じゃないだろうな?」

(SPでは「変な意味」に変更)

苦楽を共にした担当アイドルの精一杯な告白に対してこんな風に言える奴って…

有り体に言ってクズでは?

 

別々の道を歩もうと諭された春香。でもいつかPの元に戻ってきていいか?と

問われた時のセリフ。

「ああ、その時は、この話の続きをしよう。もし、気持ちが変わっていなければ」

このテキストだと自分(P)の気持が変わってなければ、と読めてしまう。

 

この後、春香さんは「変わるわけないです」「プロデューサーさんは生涯ただ一人の代わりの効かない人ですから」と言ってくれますが、ゲーム内Pは「ありがとう春香、…それじゃあ、またいつか!」とそっけない。
もう、春香の事は眼中にありません、みたいな雰囲気。

 

予算が足りなかったのか、納期が迫っていたのか。はたまたテキスト用の容量が足りなかったのか…は分かりませんが、ちょっと思慮が足りなくてエンディングへ急ぐ感じのする「ゲーム内P」の言葉により春香Pの心に生まれたのは

「あんな酷い態度をとって…ごめん」

という贖罪の意識です。そんな春香Pが負った心の傷を癒やすため、若しくはゲーム内Pが生んでしまった負のカルマを浄化する手段として具現化したものがハルカニウムというものなのかも知れません。

 

【まとめ】

春香さんの特異的なドームエンドは、誕生から15周年を迎えようとする現在でも様々な解釈が与えられ、没個性と言われていた天海春香のバックグラウンドを修飾する大きな力になっているのも事実です。

僕が主な生息域としていたニコニコ動画では「ゲーム内P」の負のカルマをそのまま引き継いだような「哀春香」や「闇春香」、まるで前衛芸術のようなどこか哀愁漂うPVなどが生まれ、「明るく前向きな春香さん」とは違った春香像を作り出すことに成功しています。

また、中の人である繪里子さんの「黒春香」発言から始まった公式の悪ふざけ(いいぞもっとやれ)である「I want」という燃料も投下され、贖罪意識が肥大していた春香Pは春香さん「閣下」と称し崇拝の対象にまで神格化していきます。いま私達が感じる

春香さん=強いリーダー

というイメージはここから醸成されていったのかも知れませんね。

 

【PS:ワタクシの考えた理想のエンディング】

さて、かくいう僕は春香さんがステージで歌い踊ることをひたすら眺めるのが好きなPなので、自分が好きな様にカメラワークをいじったNPVなどを作成してニコ動にアップしていましたが、普段仲良くさせて頂いている真摯な春香P達と接していくにつれ、僕にも春香さんの物語を含んだ動画が作れないか?と考えるようになりました。

 

あの日、夜の夢の大橋の上で対峙した春香さんとプロデューサー。二人がお互いにこう思っていてくれたら…。そんな思いをいっぱいにして作成したのが2018年の天海春香誕生祭の時にニコ動に投稿した動画である

「それは言わない約束 feat.天海春香」(sm32956168)です

愛しているなら SILENCEがいい
いらない言葉を 唇に閉じ込めて
抱きしめられたら ためらいたくない
今夜はさよなら 言わない約束

愛しているなら SILENCEがいい
ちらかす言葉は みんな夜空にあげて
抱きしめられたら 戸惑いたくない
今夜はI LOVE YOUも 言わない約束  歌詞:ribbon 「それは言わない約束」より


この歌詞・・・どうでしょう?ピッタリ来ると思いません?
ドームエンドを成功させたアイドルとプロデューサー。

二人の間にはちらかす言葉なんて要らないのです。